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油潤滑とグリース潤滑を比べてみると・・・

送風機の軸受(=ベアリング)は何らかの方法で潤滑されています。その方法は潤滑剤によって分けられ、液体潤滑、半固体潤滑(グリース)、固体潤滑があります。潤滑法もそれぞれに対応して給油法(液体潤滑剤)、給脂法(グリース)、固体潤滑法(固体潤滑剤)に分かれます。

送風機について潤滑をどうするかを考えるとき、給油するのか給脂をするのかの二者択一が現実です。個体潤滑はときおり、医薬、真空、水中などの用途での選定が見られます。
ちなみに無給油型と称するベアリングユニットは初期充填の油または脂に対して追加の油、脂を供給することができない、という意味であり、「油切れの際はベアリングごと交換作業が必要」なので注意してください。つまり「無給油式」は、初期充填グリスと補給グリスの異種混合による事故を防ぐことが主たる目的です。つまり「無給油式」とは、潤滑剤補給が不要の画期的なベアリングは今のところありません。

ところで、油潤滑とグリース潤滑を比べてみると・・・

送風機に於いては超高速・超高温というアプリケーションは少ないため、グリス潤滑が一般的です。
いずれの潤滑方法でもベアリングは寿命が来た時には交換する必要があります。
グリス潤滑に於いてはハウジング設計が簡単かつ汎用性があるため安価であることと、比較的メンテナンスが楽ということを含め、油潤滑に勝る点が数多くあります。
下の対比で各方式の長所と短所をご確認ください。
三上鉄工の送風機ではグリス潤滑を標準としていますが、生産数量やリピート性などの条件によっては油潤滑(=油浴式)も検討させて頂きます。

油潤滑は連続給油が必要           ⇔  グリス潤滑は長期無給油可
油潤滑は必要油量が多い           ⇔  グリス潤滑は少量で可
油潤滑は漏れを防ぐ軸封が複雑で保守にも要注意  ⇔  グリス潤滑の軸封は簡単
油潤滑は油漏れの際にどこかへ流れてしまう    ⇔  グリスは漏れたとしても流れづらい
油潤滑は潤滑系複雑大規模(初期費用が高価)  ⇔  グリス潤滑は潤滑系単純(汎用性高く初期費用が安価)
油潤滑は密封装置複雑(初期費用が高価)     ⇔  グリス潤滑は密封装置単純(初期費用が安価)
油潤滑は異物連続除去可(循環装置で濾過)    ⇔  グリス潤滑は異物除去不可
油潤滑は高速回転可超高温対応可         ⇔  グリス潤滑は低速から中高速程度に適する。(小~中大型程度の送風機に適している。)
油潤滑は冷却能力大           ⇔  グリス潤滑は冷却能力なし(簡単な空冷装置などである程度の冷却が可能)
油潤滑は長期停止時流れ落ちてしまい錆発生    ⇔  グリス潤滑は長期停止時防錆可(粘性が生かされている)

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