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75m/sの風がもたらす破壊力(竜巻、突風の恐ろしさと災害への備え)

2025年9月、静岡県で観測史上最高の風速75m/sが記録されました。この数値がどれほどの脅威をもたらすか、流体力学の観点から解説します。

風速75m/sの破壊力
風速75m/sという数字は、単純な速さの概念をはるかに超える破壊力を秘めています。この風速は時速に換算すると270km/hにもなり、これは新幹線の最高速度にも匹敵する数値です。

風が物体に与える力、すなわち風圧は、風速の2乗に比例します。この「2乗」の関係こそが、わずかな風速の増加が、風の力を飛躍的に増大させる理由です。

一般的な台風で観測される風速20m/sの風と比較してみましょう。
75m/sの風は、20m/sの風の約3.75倍の速さです。したがって、物体にかかる風圧は、約3.75の2乗、つまり約14倍にもなります。

このとてつもない力は、建物の窓ガラスを粉々に砕き、屋根を根こそぎ吹き飛ばし、電柱や樹木を簡単にへし折ってしまいます。風速75m/sの風は、あらゆるものを弾丸のように飛ばし、さらなる被害を引き起こすため、屋外に出ることは命の危険を伴います。

災害への備え
今回の記録的な突風は、私たちがこれまでに経験したことのないレベルの自然災害です。風の力を甘く見てはいけません。適切な知識と備えを持つことが、私たち自身と大切なものを守る第一歩となります。

ご家庭や会社では、飛散の危険がある物を屋内にしまうなど、具体的な対策を講じるとともに、建物の定期的な点検や補強を怠らないようにしましょう。

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