軸流送風機は、軸方向から吸い込み軸方向に送風するものであり、ダクトの途中の少ない空間に設置できるのが特徴です。機器の内部の温度が上がると、内部の部品の寿命が短くなり故障と関係してきます。特に発熱する機器や部品は、熱の影響を多分に受けます。機器の内部の部品を長く使う上で、機器内の冷却と送風機を選ぶことはとても大事です。制御盤、工作機械、計測機器、医療機器などに使われています。
特徴として、送風量が多いです。工場内の空気を入れ替えたり、製品を冷却したりする際に多く使われています。また、坑内の給排気、換気に使われ、工場、倉庫、ビルなどの換気装置、排風装置とされています。また、熱風と冷風の押し込みと誘引や、燃焼ガスの誘引、さらには薬品ガスの排送風などに使われています。装置内の温度上昇を防ぐ目的で使われています。構造はわりと単純で、軸方向から空気を吸い込み、そのまま軸方向に送風します。ターボ送風機の中で最も効率が良く、発熱する機器や部品の冷却に幅広く使用されています。また、製品自体を小さくすることもできます。普段、目にすることのない多くの場所にも使われています。
持ち運びできるものは、軸流送風機でできていることが多いです。送風機を設置する位置や配管を設置する位置が限定される場合でも軸流送風機が多く使われています。用途として、トンネル工事現場などの吸排気、一般空調、工場内の吸排気、地下室の換気、地下駐車場の換気、熱風乾燥機の送排気、船舶・鉱山の換気、エンジンモータ冷却用などがあります。かつては、比較的騒音が高いといった欠点がありましたが、最近では高効率、低騒音の軸流送風機も登場してきました。空気を送り出す力が増し、省エネルギー、省スペースを実現し、安全性に配慮しメンテナンスの少ないものも出てきました。
大きく分けて、空調用送風機、誘引送風機、工事用送風機、試験装置用送風機、防爆用送風機があります。空調用送風機は、小型化、軽量化することができます。狭いスペースでも設置することが可能です。防音、遮音がしやすく、比較的安い消音器で消音効果が期待できます。床上、天井にも設置ができて、風向きは水平、垂直のほか、斜め方向にも設定できます。風量を一定に保つことができ、わりとシンプルな構造でメンテナンスも簡単です。
誘引送風機は省エネルギーで、電力を家庭用の照明器具程度にしか必要としないものもあります。音を減らす装置を取り付けることにより、静かな場所でも動かすことが可能です。吹き出し方向が縦横、斜め、上下と設定できます。室内の温度を均一にし、それを保つ効果が期待できます。ファンとノズルがまとまって一体になっているので、ダクトの備えは必要がないです。
工事用送風機は、距離があってもしっかりと風を届けることが可能です。音が静かで、吹き出し方向が横方向、上下、斜めと必要に応じて設定できます。トンネル工事用の換気ファンは、トンネル坑内にも設置ができます。火花が出ないようになっているので、メタンガスにも対応できます。
試験装置用送風機は、人工的に風を発生させることができる機械です。風洞内で自動車や列車、航空機などといったものが起こす空気の流れから受ける様々な影響を測ることにより、新たな製品の開発、設計に役立つデータを集めることが可能です。
防爆用送風機は、発火しにくい構造で、主に爆発性ガスの取り扱いがある場面で使われます。防爆とは石油精製、石油化学などで、可燃性のガスや液体の蒸気が空気と混ざり合うと燃発性のガスとなります。このガスが、電気火花や高温度の物体に触れると爆発や火災が起きる可能性があります。こういう危険な場所では、使用する電気機器も防爆機器とする必要があります。
多くの場所で使用されている軸流送風機ですが、医療機器における利用を挙げてみます。CTスキャン、マンモグラフィ、X線装置といった最近の医療機器は高速で小型化が進んでいます。それにより、発熱量が増加していて冷却機能の高い送風機の重要性は増しています。CTスキャンにおいては、装置の中の熱を排出するためにいくつもの冷却送風機を使用しています。例えば、造影撮影を行う回転部には、スキャンする際の高速回転に耐える、ねじりなどの力に対して歪まない性質の高い送風機が必要になっています。また、マンモグラフィの検査装置から出る熱の排熱にも冷却送風機が使われています。
最近の検査装置は小型化が進み、基板の密度が高くなることによって発熱量も大きくなっていきます。冷却機能は言うまでもなく、検査室などの静かなところで使われるため、低騒音、低振動の送風機の必要性が大きくなっています。また、歯科クリニックで使われるX線装置においても冷却送風機が必要です。X線装置は、歯科クリニックの一角に設置されることが多く、短い撮影時間で非常に細かい画像データを処理することが必要になります。装置が小型化されて装置全体の発熱量や消費電力がかなり大きくなっています。
ゆえに、小型であっても、消費電力を抑えて排熱ができる高性能な送風機が必要となっています。このようなニーズに対しては、温度状況に応じて回転速度が設定できる低消費電力送風機が適しています。装置の待機中には、送風機の回転速度を低速にすることで、消費電力と騒音を抑えることが可能です。モータを最適な状態に近づけることで発熱を抑え、今までより高性能な送風機が増えつつあります。