ポンプの構造を語る上で、欠かせないパーツの一つがインペラーとなります。このインペラーがなければ、ポンプが全く動作しなくなってしまうため、それだけ重要なパーツということを、まず理解しておきましょう。
さて、このインペラーですが、日本語で言えば、羽根車になります。この羽根車は、言葉から察することができる通り、ぐるぐると回ることによって、役割を果たすパーツとなります。
では、ぐるぐると回ることで、どのような役割を果たしているのか?答えは単純で、液体や気体を動かす役割を果たしています。ポンプではありませんが、船のスクリューも羽根車であり、ぐるぐると回ることで液体を動かし、前進・後進をするための動力を与えているわけです。ここでいう羽根車も、似たような役割を担っていると、何となく理解をしてもらえれば結構です。
さて、この羽根車ですが実は大きく2つに分類することができます。1つが、オープンインペラ、もう1つがクローズドインペラというものです。いずれも、羽根車のことを指しますが、言葉から察することができる通り、羽根がむき出しになっているか側板のようなもので覆っているかの違いになります。当然、いずれにもメリットとデメリットがあり、オープンにする理由、クローズドにする理由というものが存在します。
例えば、オープンインペラに関しては、ポンプに全く詳しくない人でも、非常に身近に存在しています。それが、扇風機だったり、洗濯機だったり、換気扇だったりというものです。いずれも、クローズドにしてしまったら、全く意味がありません。クローズドインペラの扇風機があったら「風がでてこない!」という苦情の嵐になってしまうのは言うまでもありません。先程の例で、少し触れた「船のスクリュー」も一種のオープンインペラとなっています。
では、この羽根車がポンプの構造にどのように絡んでくるのか?非常に簡単な話です。羽根車がぐるぐる回ることで、気体や液体に遠心力を与え、その遠心力で外に外に向かおうとする「力」を利用しているのです。
もう少し噛み砕いてお話をしていきましょう。液体・気体、つまり流体に遠心力を与えたとき、側面があったとします。側面があると、外に逃げることはできなくなるため、流体は、上に逃げようとします。実は、このシーンは絶対に見覚えがあるものです。
例えば、コーヒーを入れて、砂糖を入れて、ミルクを入れたら、必ずかき混ぜることになるかと思います。そのとき、遠心力で液体は外へ逃げ、コップの側面にぶつかり、逃げ場を失い、上へ逃げていきます。となると、コップの中はどのような形になっているのでしょうか。コップの側面の水位は高くなり、中心に向かって低くなっていくかと思います。まさに、これがポンプの構造の原理となるのです。
羽根車でぐるぐる回された流体は、この性質を活かして、吸い込んで吐き出すという作業により「ポンプ」というアイテムが成り立っています。
何となく構造や原理は分かって頂けたと思いますが、それでもまだまだフワフワしていることがあるかと思います。例えば、コーヒーの話であれば、一種の「オープンインペラ」になるわけですが、これで役割が果たせるのであれば、クローズドインペラは不要では?と思う方もいらっしゃることでしょう。
実は、実際にポンプとして成り立たせるためには、そこまで単純な話ではなく、原理自体は単純なのですが、突き詰めていくと、なかなか上手くいかないという状況があるのです。
その1つが、無限回転の渦と呼ばれる現象です。これは、外に吸い上げられそうになって飛び出そうとするも、羽根が回ってきてしまい外に出られない状態のことを指します。この状態になってしまうと、当然、ポンプとしての役割は半減…もっと言ってしまうと、半減以下になってしまいます。
そこで、登場するのが、クローズドインペラというわけです。言い方を換えると、羽根カバーを付けることによって、一気に、この現象を解消することができます。詳しい説明をすると、それこそ物理の世界になってしまい、いくら時間があっても足りないため、このあたりで辞めておきますが…。気になる方は、別途、詳しく勉強してみてください。
インペラーと一言で言っても、クローズドインペラ、オープンインペラと大きく2つに分けることができます。加えて、ポンプの形状や、用途によって、羽根車の形式も色々あることも合わせて理解しておくと、より構造を理解することができます。様々な難しい言葉が出てくるかもしれませんが、原理自体は、色々と構造上工夫が必要なところはありますが単純明快です。